ANTENNA / PORTLA編集部でその月に共有された面白かった・興味深かった記事、それぞれのメディアで更新されたおすすめの記事を紹介するメールマガジンです。普段の記事の更新だけでは見えにくい、わたしたちの普段「見ているもの」や「考えていること」を10本の記事を通じて紹介していきます。
🤔今月の編集部!
今月の担当:岡安(ANTENNA編集長)
記事ごとに滲み出る書き手の人柄は、メディアという単位で見た途端になくなるような気がします。大きく受け皿としてメディアを用意することも重要ですが、単に情報発信することだけを目的にしてメディアをやっているわけではないので、器にも人の気配を漂わせることができたらいいなと考えています。
これまでnoteでしてきた編集部についての情報発信をこれからはSubstackで行っていきます。わたしたちが今何を見て、何を考えメディアを運営しているのか。そんなことをお伝えできればと思います。これからどうぞよろしくお願いします!
🐙今月気になった記事8選
編集部でシェアされた、今月気になった記事をコメントと一緒にご紹介。
①テープ起こしの達人から学ぶ、コンテンツの質を高めるために必要な編集術
業界を支える職能を持つ人はたくさんいる。アウトプットに直結しない仕事でも、クリエイティブを支える重要な仕事はもっとスポットを当てたいと改めて思った記事でした。自分で文字起こしをするときは原稿に近づけるためにある程度読むための素材に仕上げられるのですが、純粋に文字起こしを取材をした自分以外の人に依頼をすると「使いやすい」「使いにくい」のスキル差がはっきりと出るなと思っていたのでとても面白い内容でした。原稿を作る上でも重要な考え方がたくさん含まれていると思います。(岡安)
夕子さん:どういった媒体に載るのか、そして編集者さんが何を求めているのかをすごく考えますね。座談形式のものであれば、一人語りになるわけがないだろうと思い、お互いのやり取りを活かす形で仕上げます。でも、それが政治家のインタビューであれば、あまり砕けた口調にしないように心がけますね。例えば「やっぱ」といった言葉を使っていても、そのまま載るわけがないだろうとばっさりとカットしています。
掲載:BAUS
記事のリンク:https://baus.jp/magazine/story/6379
②コラムニスト・小田嶋隆が残した功績【追悼企画】──Vol.01:内田樹
良質で肉厚なテキストが無料で読めることの尊さを感じつつ、このテキストがウェブ上だけ置かれていることがもったいない気もした。昨今のメディアクローズが騒がれていた時期なのでいい文章をサーバーだけに置いておくことのリスクを改めて考えさせられました。(岡安)
掲載:GQ Japan
記事のリンク:https://www.gqjapan.jp/culture/article/20220627-takashi-odajima-tatsuru-uchida
③対談〈佐久間裕美子 × Z世代〉「大人と若者が一緒だからできるインクルーシブなメディア」眞鍋ヨセフ 前編
この春テキサス州オースティンに一ヶ月滞在していた時のこと。オースティンに住む日本人たちと夜飲み会をする機会が何度かあったのですが、普通に自分がどんな政党を支持するか、「銃社会について」なんて酔っ払いながらも私以外のみんなが真剣に話していた姿がとても印象に残っています。自分の気持ちだけが遠くにいる感覚で、恥ずかしい気持ちになっていました。
「いつから、社会正義を口に出すことがイタいことになり、差別に反対することが意識高いことになったのか? そういう風潮はダサいってなぜ誰も言わない」
この感覚はわかっていても口に出せずずっともじもじしていましたが、先に行われた選挙を経てその感覚は変わってきています。明日から政治に関しての意見を述べるぞ!とかではもちろんないですが、自分なりにできることをこつこつできるように勉強と発信は忘れずに取り組んでいきたいと思っている次第です。(岡安)
掲載:TOKION
記事のリンク:https://tokion.jp/2022/05/09/yumiko-sakuma-x-yosefu-manabe-part1/
④宗教右派と自民党の関係|ジェンダーと宗教(前編)|安倍元首相銃殺で注目されるジェンダー問題と宗教勢力の関連。前編の今日は2000年代のバックラッシュ時期を徹底解説|ゲスト:斉藤正美、山口智美
最近で言えばポリタスTVの「宗教右派と自民党の関係|ジェンダーと宗教」も、知らないことだらけでハラハラしながら聞いてました。お話されていた斉藤正美さんや山口智美さんの著書、これから読みます。(岡安)
掲載:ポリタスTV Youtube Channel
記事のリンク:https://www.youtube.com/c/politastv
⑤SNS広告から考える「日本の音楽が海外でヒットする方法」
私がANTENNA編集部と並行して関わっているGerbera Music Agencyの代表・金野和磨さんのインタビューです。ここで語られている話はANTENNAで日々取り組んでいるローカル視点の記事作りとは対極のグローバル視点で日本の音楽をどのように広めていくかの話が中心。こちらもピッチフォークと合わせて読めば気づきが多いです。(峯)
掲載:TOKION
記事のリンク:https://tokion.jp/2022/04/13/interview-kazuma-konno-gma/
⑥Tatsuro Yamashita: Softly Album Review | Pitchfork
ピッチフォークによる、丹念に情報ソースにあたって調べられながら書かれたレビュー。海外からどのように日本の音楽が見られているかうかがい知ることができます。(峯)
掲載:Pitchfork
記事のリンク:https://pitchfork.com/reviews/albums/tatsuro-yamashita-softly/
⑦「独身おじさん友達いない」問題が意外に深刻 「会社以外ではいつも一人ぼっち」の中年男性はどうすればいいのか
どんどん減少していく人間関係やコミュニティの記事。正直、僕は50歳になったときが怖くて意図的に編集部の活動や、仕事でも多くの人と関われるようにしているところがあります。与えられた役割だけを機能的にこなしてしまうと、いつかその役割が終わったときにあっという間に社会から取り残されそうで。その唯一の回答は、多くの人と関わる、その関わりの中での自分の居場所を見つけるといった「自立」ではないかと思うのです。この自立には「精神的・経済的・文化的」など様々な言葉が入る。(堤)
「でも中川さんは実に楽しそうに、その知らない人と仲良く飲み始めたりする。あー、中川さんはこうやって、唐津の町や人を受け入れたから、この土地に受け入れられたのだな、と思った。他人に自分を受け入れてほしいなら、まず自分が他人を受け入れようと。友達作りも、たぶんそんな具合ですよね」
掲載:AERA dot.
記事のリンク:https://dot.asahi.com/dot/2022070400059.html?page=1
⑧抵抗としてのオウンドメディア ー WORKSIGHT編集長・山下正太郎による「リブート宣言」をお届けします
正直に白状します。Webメディアを2つ運営していますが、既存のメディアのやり方、あり方の限界を感じています。なぜかというと、そもそも社会情勢の変化や、コンテンツに向き合うデバイスの変化、そして我々が愛するもののそもそものマーケットの小ささ、そういったものへの対応が非常に困難になってきているからです。これからもっとカルチャーや、その媒体となるWebメディアの存在は厳しくなっていくと思います。特に、Web媒体はスピードや量が求められがちで、コンテンツとPRとの切り分けを曖昧にされてきた。そのことがより、資本とのお別れを難しくしている気がする。(堤)
思考を喚起する触媒としてのメディアとは、どのようにつくり得るものなのか。10年に及ぶ企業取材のなかで得られた確信のひとつに「アウトプットのユニークネスはインプットによって担保される」というものがある。私が目にしてきたのは、社会にオルタナティブを提示する企業は、軒並みその働き方や空間の捉え方がユニークであったということだ。これをメディアづくりに照らし合わせるならば、編集プロセスのあり方がメディアの面白さを規定するということである。
これまでの「WORKSIGHT」は、私ひとりの価値観をベースとし、企画から編集までを私が専制的に行ってきた。ピュアに編集方針が反映されたともいえるが、自分の能力の限界がすなわち媒体の輪郭であり、当然広がりを欠いたものであったことは否めない。
掲載:WORKSIGHT Substack
記事のリンク:https://worksight.substack.com/p/6a3?sd=pf
💡ANTENNA・PORTLAのおすすめの更新記事
ANTENNA・PORTLAで更新された、今月のおすすめの一本をご紹介。
今月はここまでANTENNAが追いかけてきたアーティストの新譜ラッシュが続き、インタビュー記事も多数公開となりました。PORTLAでは新連載もスタート!はからずとも、本をつくる人にフォーカスした記事が公開となりました。7月公開の記事、ぜひ気になるものからご一読を!
ANTENNA
おとぼけビ〜バ〜 × 奥羽自慢 - 日本酒の固定観念を崩す男が生み出した純米大吟醸『おとぼけビ〜バ〜』とは
ワールドワイドな活動が目覚ましいおとぼけビ〜バ〜の日本酒ができたとの情報をキャッチ。製造元の奥羽自慢に取材を行ってきました。製造を担った奥羽自慢の阿部龍弥さんは「今の日本酒業界には「遊び」が必要」と話していたことがとても印象的でした。
以前別の方に『人間は、働く、遊ぶ、休むがないとバランスが崩れる。たとえばハンドルのようなものでも「遊び」がないと事故が起きる』という話を聞いたことがありました。働くと休むの間にある「遊び」こそ、物事を飛躍させる一助になると思っていて、歴史のある仕事を担う方がその発想でプロダクトつくりに取り組まれている姿勢はとても勇気をもらうものでした。肝心の日本酒は甘味があって飲みやすいく、特注のボトルが何よりかわいいのでぜひ手に入れて欲しい一本です。ぜひ!(岡安)
記事のリンク:https://antenna-mag.com/post-59134/
PORTLA
自分なりの「わからない」を積み上げていく 出版社さりげなく・稲垣佳乃子さん|関係性の紡ぎ方 #1
これまでの自分が臨む取材は「答え合わせ」をしに行くことが多かったです。見せたいテーマや伝えたいことの答えを持っている人に話を聞きに行って記事にする……。もちろん手法のひとつとしてはありなのだと思うけど、メディアを初めて8年、このやり方には限界みたいなものを感じているタイミングでした。年齢と共に薄れゆく好奇心を奮い立たせるには劇薬のようなエンタメしか自分には効かないのですが、それを追いかけていくのも必死。さてどうしたものかと考えていたときに、かのこさんの取材に立ち合わせてもらいました。
稲垣:テレビに出てくるような少年漫画誌の編集さんとか、「これは次にこうした方がいいと思います」ってズバッと言ったりしますよね。それはそれですごいと思うのですが、何が正解かなんてわからないじゃないですか。無数にパターンがある中で、私ははっきり「これだ!」みたいなことは言えない。編集者に答えはないし、作家にも答えがないから本を作っているので、「もしかしたらこういうことを言いたいのかもしれない」みたいなことを、一緒に考えるっていう関係性なのかなあ。
だから、作家さんに「どう思いますか」って言われても、「いやー、まだわかんないですね」って言っちゃうんです。「まだ言語化できていないです」とか言いながら、思っていることを話すと、作家さんも思っていることを話してくれて、その繰り返し。だってわからないことばかりですよね。
あれ、わかんなくていいんだ!わからないことを知るためにこの仕事をやっているんだ!かのこさんの言葉を聞いて、目の前がぱかーんと開けた気持ちでした。そうなるとやりたいことも、話を聞きたい人もたくさん出てくる。わからないことを一緒に探したい人はたくさんいて、そのことにも胸を撫で下ろしました。
かのこさんもこの取材のことをnoteでご紹介いただいて嬉しい限りです。https://note.com/sarigenaku_staff/n/n3f576c50ff43
これから何を探していこう、この先の10年が楽しみになる取材。私にとっても大事な取材となりました。ぜひご一読ください。(岡安)
記事のリンク:https://portla-mag.com/post-56246/
👉お知らせ
PORLTA編集部がメディア名を冠にしたZINE『PORTLA』を発刊しました。「#つくるよろこび」というテーマを元に取材したクラフトビールのつくり手たちの5つのストーリーが収録されています。ANTENNAのオンラインストア・mallで発売中です。